未来の列車「ハイパーループ」、初の公開実験 時速187キロ
ラスベガス(CNNMoney) 未来の超高速列車「ハイパーループ」の開発を進める米新興企業ハイパーループ・ワンが11日、米ラスベガスで高速走行技術をテストする初の公開実験を行った。
鉄鋼の骨組みでできた車両は2.5Gの加速度で線路上を走り、時速約187キロに到達。砂の山に突っ込んで盛大に土ぼこりを巻き上げた。約1.9秒間で実験は終了した。
ハイパーループ・ワンの共同創業者、ブローガン・バムブローガン氏は実験終了後、「すべてうまくいった」と満足そうな様子だった。
ハイパーループの構想は、米テスラ経営者のイーロン・マスク氏が2013年に打ち出した。加圧チューブ内で乗客を乗せたカプセルを浮上させ、時速1120キロを超す速度を実現するという仕組み。マスク氏はこのアイデアを公開し、多数の新興企業が技術開発を競っている。
ハイパーループ・ワンは、民間宇宙会社スペースXの推進工学技術者だったバムブローガン氏やベンチャーキャピタリストのシャービン・ピシェバー氏が2014年に創設した。これまでに8000万ドル(約87億円)の資金を集め、従業員は150人を超えた。
今回の実験に使った屋外線路は半年前にラスベガス北部の砂漠に敷設した。当日は大勢の報道陣や従業員、関係者などが詰めかけて実験の様子を見守った。
車両は制御室からエンジニアが操作。カウントダウンを行って全従業員を線路から離れさせ、線路に7000ボルトの電流を流して起動させた。
今後は実験用の線路をさらに拡張する計画で、直径3.3メートルのチューブで囲んだ全長1.5キロの閉鎖型軌道を建設予定。この中にカプセルを浮上させ、空中を走行させる。カプセルの中の乗客は航空機と同じで、最初の加速時しか重力を感じないという。年内にはシステムをフル稼働させた状態での実験を予定している。
ハイパーループ・ワンの計画では、2019年までに貨物列車の運行を開始し、21年までに旅客列車の運行開始を目指す。