日産、英工場でのSUV生産計画を撤回 EU離脱への懸念で
ロンドン(CNN) 日産自動車は3日、英中部サンダーランドの工場でスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルを生産するとの計画を取りやめると発表した。英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる不安が大きいと判断した。
日産は2016年に英国民投票でEU離脱が決まった後、英政府から離脱後も支援するとの約束を取り付けたうえで、サンダーランド工場でのエクストレイル生産を発表した。だがこのほど計画を撤回し、日本での生産に切り替えることを決めた。
欧州日産のジャンルカ・デ・フィッシ会長は声明で「英国と欧州の今後の関係をめぐって不透明感が続き、我々のような会社が将来の計画を立てる妨げになっている」と述べた。
この発表を受けて英国内の反離脱派からは、工場の地元が受ける打撃や、EU離脱交渉の混乱がビジネス投資全体に及ぼす悪影響を指摘する声が上がった。
日産のサンダーランド工場は英国最大の自動車工場で、現在7000人以上の従業員を雇用している。同工場で「ジューク」「キャシュカイ」という2車種の次期モデルを生産する計画は、予定通り進めるという。
16年の国民投票で日産はEU離脱に反対したが、サンダーランド地区では離脱票が61%と圧倒的多数を占める結果となった。
英自動車製造販売協会が昨年6月に発表したデータによると、18年上半期の新モデルや設備、施設への投資は前年同期の約半分まで激減した。英産業同盟(CBI)のポール・ドレクスラー会長は同月、EU離脱後に関税同盟がなくなれば、英国の自動車産業は消滅の危機にさらされると警告していた。