シンガポールの「どこにも行かないクルーズ」、乗客陽性で引き返す
(CNN) シンガポール発着の「どこにも行かないクルーズ」の船上で、乗客が新型コロナウイルス感染の陽性反応を示したため、船は予定を切り上げて港へ引き返した。
「どこにも行かないクルーズ」は、新型ウイルス感染拡大で打撃を受けた国内観光業界の復活を図る事業の一環。米クルーズ大手ロイヤル・カリビアンの「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」号はシンガポールの港を出て、3泊4日の遊覧クルーズの後、同じ港に戻る予定だった。
船上で乗客1人の陽性が確認されたため、ただちに当局に連絡して帰港した。乗客は徹底的な接触追跡が完了するまで、下船しないよう指示された。
ロイヤル・カリビアンの代表者は「政府と緊密に連携し、乗客と乗組員全員の検査、監視システムを整備している」と強調。「1人の感染者を素早く見つけ、すぐに行動に移せたのは、システムが狙い通りに機能している証拠だ」と述べた。
シンガポール政府観光局の当局者が国内紙に語ったところによると、感染した乗客の濃厚接触者はすでに全員、検査で陰性の判定を受けたが、予防的措置として隔離されるという。
船は定員の50%で運航していた。乗客は全員、事前の検査で陰性となった証明書を提示し、客室外では常にマスクを着用するよう求められた。チケットを購入できるのはシンガポール国民に限られ、世界各地から集まる乗組員は乗務の前に同国内で14日間の隔離を義務付けられていた。