カナダ、外国人による投資目的の不動産購入禁じる新法施行
(CNN) カナダで1日、外国人が投資目的で住宅用不動産を購入することを向こう2年間原則禁止とする新法が施行された。この背景として、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、カナダで住宅価格が高騰していること、そしてその責任は投資目的で住宅を買いあさっている外国人購入者にあるとカナダの一部の政治家が考えていることが挙げられる。
しかし、新法施行後も移民や永住者の住宅購入は認められる。
カナダのトルドー首相率いる与党・自由党は昨年の選挙用ウェブサイトで「魅力あるカナダの住宅は、暴利を得ようとする人や裕福な企業、外国人投資家たちを引き付けている」とし、「これが十分に活用されていない空き家、過剰な投機、価格の高騰という深刻な問題につながっている。住宅は国民のためのもので、投資家のためのものではない」と述べている。
しかし、2020年と21年に高騰した住宅価格も、22年には下落に転じた。
カナダの中央銀行であるカナダ銀行は金利を引き上げており、その結果、同じように金利を上げている米国などと同様に、住宅ローン金利も上昇している。
カナダ不動産協会(CREA)によると、カナダの平均住宅価格は昨年2月に80万カナダドル(現在の為替レートで約7700万円)強でピークに達し、その後は徐々に下落し、ピークから約13%下落したという。
CREAは例外措置があるとは言え同法には懸念を覚えるとの声明を発表。多文化国家として世界中の人々を受け入れてきた同国の名声を傷つける恐れがある一方、その恩恵は多くなさそうだと指摘した。
さらに、米国やメキシコからカナダ人による住宅購入を制限する同様の動きを招きかねないと言及。外国人で最大の米国不動産の買い手であるカナダ人は、その半数以上がフロリダ州とアリゾナ州で不動産を購入しているとも述べ、寒い冬の避寒地として過ごし、退職者の資産形成の一形態ともなっているこうした不動産の購入を報復として禁じられる可能性に危機感を示した。