破綻したシリコンバレーバンク、従業員はCEOに怒り 「極めて愚か」と内部関係者

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SVBの従業員が破綻の内幕を明らかにした/Kori Suzuki/Reuters

SVBの従業員が破綻の内幕を明らかにした/Kori Suzuki/Reuters

ニューヨーク(CNN) 米銀行シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻(はたん)をめぐり、責任の所在を追及する動きが出ている。米国史上2番目の規模の銀行破綻として歴史に名を残す事態を招いたとして、グレッグ・ベッカー最高経営責任者(CEO)の責任を指摘する声が上がっている。

匿名を条件に取材に応じたSVBの従業員の一人は、危機を乗り切るのに必要な資金支援を内々に取り付ける前に、ベッカー氏が公に資金難を認めたことに唖然(あぜん)とさせられたと振り返った。

これをきっかけにパニックが起こり、顧客が我先にと預金を引き出す結果になった。

SVBの資産運用部門で働くこの従業員はCNNとのインタビューで、「極めて愚かな対応だった」と指摘。「彼らは非常に透明性が高かった。スキャンダルで通常目にする状況とは正反対だが、経営陣の透明性と率直さが命取りになった」と説明した。

ベッカー氏ら経営陣は8日夜、22億5000万ドル(約3000億円)の増資計画のほか、210億ドル相当の資産売却で18億ドルの損失を計上したことを明らかにした。

この発表を機に、SVBが新興IT企業への貸し手として重要な役割を果たすシリコンバレーでは、一気に懸念が高まった。顧客の多くがパニックに陥り、カリフォルニア州規制当局への提出書類によると、9日だけで420億ドルを引き出した。SVB株は同日60%下落した。

同営業日の終わりには、SVBは約9億5800万ドルの債務超過に陥っていた。

「従業員はCEOの愚かさにただただショックを受けている」と前出の内部関係者は語り、「40年間この業界にいて、20億ドルを内々に調達できないとは。それなら皆と同じようにクウェートに飛び、銀行の支配権の3分の1を譲渡した方がいい」と指摘した。

SVBはコメント要請に応じなかったものの、ベッカー氏は今回の状況について従業員に謝罪したと報じられている。

ロイター通信によると、ベッカー氏は10日、動画メッセージで職員に「非常につらい気持ちで皆さんにこのメッセージをお伝えする」「皆さんがどんな思いでいるのか、仕事や将来についてどんなに不安に思っているかは想像も付かない」と語った。

米エール大学経営大学院チーフ・エグゼクティブ・リーダーシップ・インスティテュート(CELI)のジェフリー・ソネンフェルド最高経営責任者(CEO)もCNNに対し、シリコンバレーバンクの経営陣は批判に値するとの見方を示した。

ソネンフェルド氏とCELIの研究ディレクター、スティーブン・ティアン氏は12日、CNNにメールを寄せ、「誰かがマッチに火を付けたところで、銀行が『火事だ』と叫んだ。透明性と誠実さを重視するあまり、警報を本格作動させてしまった」と指摘した。

両氏によれば、SVBには規制上の要件をはるかに超える十分な資本があったことから、22億5000万ドルの増資の発表は「不要」だった。それだけでなく、18億ドルの損失を同時に公表する必要もなかった。

これがワンツーパンチとなり、「一斉に預金の引き出しが行われる中、当然ながら広い範囲にヒステリーを引き起こした」という。発表の間隔を1、2週間空けていれば、これほど大きな問題にはならずに済んだ可能性があるとも補足した。

米政権は12日、シリコンバレーバンクの預金者の救済を発表。バイデン大統領は、銀行の破綻に関わった全ての当事者を徹底調査する方針を示している。

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