ラタム航空機の急降下、「機長席が意図せず動く」 暫定報告書
(CNN) 南米チリのラタム航空800便の旅客機が先月11日、飛行中に突じょの急降下に襲われ、負傷者50人が出た事故で、チリの航空行政当局は18日までに、機長席が「意図せず前方へ動く」事象が起きていたとの暫定報告書を公表した。
同機は米ボーイング社製の787型機で、オーストラリアからニュージーランドへ向かっていた際の高度の急激な落下は400フィート(約122メートル)にも達していた。暫定報告書は、原因はまだ解明されていないとした。
航空行政当局は報告書をまとめるに当たり、乗務員に加え、整備士も聴取し、機長席の状態などを確認した。同機の操縦室内にある座席に関連する情報を過去にもさかのぼって調べているともした。
今回の報告書作成の経緯に通じる関係筋はCNNの取材に、「ブラックボックス」として知られる同機の飛行記録装置や操縦室内の音声記録装置、「不意に動いたとする」機長席は現在、チリ内にあるが、最終的には米国へ運ばれると述べた。
報告書によると、ブラックボックスは米国家運輸安全委員会(NTSB)に引き渡され、機長席は米連邦航空局(FAA)やボーイング社の調査に委ねられるとした。
ボーイング社は、今回の事故が起きた数日後、787型機を運用する各航空会社に操縦士席に据え付けられているスイッチ類の点検を勧告していた。2017年にも同様の通達を流したことがあった。
800便の急降下については米紙ウォールストリート・ジャーナルが先に、操縦室内での「ミス」が原因だったとみられると報道。機体上の欠陥とは一切、無関係だった可能性があるとも伝えていた。
同紙は、客室乗務員が食事を操縦室に運んだ際、操縦士の座席のスイッチを誤って押してしまったことが考えられるとも指摘。これが電動式座席を動すことになり、その弾みでパイロットが予想外の操作を強いられて、機首を押し下げるなどの結果につながったとみられると報じていた。