大人向けの塗り絵が流行 人気の背景は
ただ、厳密には同じものではないにせよ、塗り絵は各種の精神的効果を与えてくれる。バーベリアン氏は「塗り絵には確かに、不安感を減らして集中力を高め、より瞑想に近い状態をもたらす潜在力がある」と話す。2005年に発表された画期的な研究では、被験者が曼荼羅(まんだら)を塗りつぶしているとき、不安感が減少することが示された。
また、塗り絵は瞑想と同様、脳を目の前のことに集中させ、ばく然とした不安感を和らげる助けにもなる。バーベリアン氏は、派手な表現方法は落ち着かないという人には特に塗り絵が効果的だと指摘。「私の経験では、警戒心が高い参加者ほど塗り絵に心の静けさを見出す傾向にある。塗り絵は安心感が高く、作業中の満足感も得られる」と話す。
精神面や感情面で大きな問題を抱えている場合、塗り絵単体よりもアートセラピーの方が効果的だ。だが、気持ちを落ち着けるための趣味が欲しいだけという人には、塗り絵本が足がかりとなる。
塗り絵本を紹介するウェブサイトによると、大人の場合はクレヨンを試すのではなく最初から色鉛筆を使ったほうが良いという。精密な作業の方が集中しやすいためだ。クレヨラ社では、色を混ぜたりすることで道具の質を一段と高める方法も紹介している。