火星に降り注いだ巨大隕石、生命育んだ可能性も 米研究
(CNN) 40億年前の火星には直径数百キロもある巨大な彗星(すいせい)や小惑星が次々に衝突し、生命が存在しやすい環境が少なくとも一時的に形成されていたという説を、米コロラド大学ボルダー校などの研究チームが天文学会誌に発表した。
冷たく乾燥した惑星だった火星は衝突の衝撃で膨大な熱が発生して地底の氷が解け、化学物質で活性化する微生物がすむイエローストーン国立公園のような熱水系が形成された可能性があるという。
コロラド大学のスティーブン・モイジス教授は、「初期の火星にもし生命が存在していたとすれば、彗星や小惑星の衝突はかなりの恩恵になった」「小惑星によって生命が絶滅したと思われがちだが、微生物にとっての真実はその逆だ」と指摘する。
さらに、火星の気圧が一時的に上昇して気温が上昇し、眠っていた水の循環が再開した可能性もあるとした。火星にかつて水があったとする説は以前から指摘されていた。
モイジス教授によれば、当時はまだ太陽系が形成期にあり、彗星や小惑星、衛星、惑星が行きかう状況だった。ただし火星が温暖化した状況は数百万年程度しか続かなかったと推定している。
「火星にはまだ生命が存在しているかもしれない。その生命は地表で生存できるまでには進化していなくても、火星の地殻に微生物として存在している可能性はある。生命が死に絶えたのかどうか、誕生したのかどうかは分かっておらず、まだ可能性は開けている」。モイジス教授はそう解説している。