人々を魅了し続ける「カリブの海賊」、その実像に迫る<上>
我慢は限界に達した。エイブリーは1694年、自由や富、栄光といった大義のもとに他の水夫を結集させ、船長が自室で寝ている間に闇夜に紛れて船を奪取した。
エイブリーらはインド洋に向かい、マダガスカル島を活動拠点として使用。すぐにインド皇帝に帰属する船に遭遇し、これを強奪した。今日の金額で2億ドル(約220億円)以上に相当する宝物を奪ったとされる。
世界中の海軍が摘発に動くなか、エイブリーはカリブ海バハマへと帆を進める。中心地ナッソーの知事を買収し、自船を捨て欧州行きの小舟に乗ることを認めさせた。
アイルランドに上陸すると、エイブリーは船員らに別れを告げた。そして略奪品とともに姿を消し、以降は2度と消息が伝えられていない。