衛星で網投げ、宇宙ごみをキャッチ 初の実験に成功
ニューヨーク(CNNMoney) 軌道上を漂う宇宙ごみの回収技術を開発している欧州のグループが、宇宙空間で人工衛星を使ってごみをキャッチする実験に初めて成功した。
実験機の「リムーブデブリス(『残骸除去』の意味)」は、宇宙ごみに見立てたダミー衛星に網をかけてキャッチすることに成功。専門家によると、宇宙清掃技術の実証実験が成功したのは初めてと思われる。
宇宙飛行の歴史は50年に及ぶ一方で、宇宙ごみに対する規制はほとんど存在せず、軌道を高速で周回するごみは数百万個に達している。たとえ小さな塗装の断片であっても、衛星に衝突すれば重大な損傷を引き起こしかねない。
ただでさえ混雑した状況の中、さらに多くの企業が軌道上に数千もの新しい衛星を送り込む計画を進めている。
リムーブデブリスの実験は、英サリー宇宙センターが主導する企業や研究機関などの共同体が実施した。同団体には航空宇宙大手エアバスやフランスのアリアングループなどが参加している。
サリー宇宙センターの代表によると、この技術を使えば、宇宙ごみをキャッチした網を主力衛星につないで牽引(けんいん)し、軌道から除去することも可能だといい、最大で全長10メートルの衛星の残骸にも対応できるとしている。
ただし今回の実験では、ダミー衛星も網も軌道上に放置された。つまり、制御不能の宇宙ごみがさらに増えたことになる。これについて関係者は、実験は非常に低い軌道上で行われたため、ダミー衛星は数カ月以内に落下するはずだと話している。
今後数カ月かけてさらに実験を重ね、大型の衛星にもりを打ち込んでキャッチする技術などについても実験を予定しているという。