オランダの学生24人、カリブ海から帆船で帰国 新型コロナで航空機乗れず
(CNN) カリブ海でセーリングなどの課外活動を行っていたオランダの10代の少年少女24人が、新型コロナウイルスの感染拡大で航空機を利用できなくなったためやむを得ず帆船で大西洋を横断し、無事に帰国する出来事があった。
先月この課外活動に参加した14~17歳の24人は、2本マストのスクーナー船でカリブ海をめぐった後、キューバから空路で帰国する予定だった。ところが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で航空便の発着に制限がかかったことで、現地に足止めを食らう事態に陥った。
課外活動を運営した会社の責任者を務めるクリストフ・メイエル氏はCNNの取材に答え、「最良の解決策は、生徒たちと海路でオランダへ戻ることだと判断した。このままカリブ海にとどまっていても埒(らち)が明かないと思った」と述べた。
こうして生徒たちと教師3人、クルー12人を乗せたスクーナー船は先月18日にセントルシアを出発し、今月26日にオランダのハルリンゲンの港に到着した。メイエル氏によるとおよそ4500海里(約8300キロ)を移動した計算になる。
オランダ到着が近づき、喜びの表情を浮かべる乗船者ら/Arthur Smeets/Masterskip
乗船者全員の健康状態は医師がチェックし、出発から2週間目で船内でのウイルス感染は起きていないことを確認した。
生徒たちは電子メールで家族とやり取りできていたものの、船内はある意味で世界から隔絶した状態だったとメイエル氏は振り返る。
途中、大西洋中央部に位置するアゾレス諸島で補給を行った際には、島民らがマスクを着用しているのを見た生徒の1人が奇異な印象を持ったと話す一幕もあった。生徒らは島への上陸を許可されなかった。
オランダに到着すると、生徒は1人ずつ船を降り、国の方針に従って互いに1.5メートルの距離を保った。感染拡大を防ぐ「ソーシャル・ディスタンシング」の取り組みは知っていたものの、自国で実施されているのを目の当たりにした生徒たちは驚きを隠せずにいたとメイエル氏は語る。
生徒たちを乗せて大西洋を横断したスクーナー船は、20世紀初めに漁船としてつくられたが2008~10年に帆船へと改造された。