スペースXの火星ロケット実験機、墜落して爆発 それでも成功と位置づけ
ニューヨーク(CNN Business) 米スペースXは9日、開発中の巨大ロケットの無人実験機「SN8」をテキサス州にある同社の実験場から打ち上げ、8マイル(約1万3000メートル)の上空まで到達させることに成功した。ロケットは計画通りに降下したが、地面に墜落して巨大な炎と煙に包まれた。
打ち上げられたのは、高さ約50メートルの宇宙船「スターシップ」の初期段階の開発モデル。スペースX創業者のイーロン・マスク氏は、巨大な人工衛星を地球の軌道に送り込んだり、人を乗せて都市間を超高速で移動したりする目的でこのロケットを使うことを想定しており、いずれは火星に初の人類を送り込む計画にも利用したい意向。
マスク氏は9日の打ち上げを前にしたツイッターの投稿で、SN8が地上に無事着陸できる確率は3分の1だと述べていた。
SN8は、テキサス州沿岸部のボカチカ郊外にある着陸目標地点に戻ることはできた。しかしマスク氏のツイートによると、燃料システムの問題が原因で墜落し、着陸地点は緑色と黄色の炎に包まれた。
スペースXやマスク氏は、宇宙船開発の初期段階での失敗も想定の範囲内としている。同社は米航空宇宙局(NASA)のように徹底研究を行って地上で実験を繰り返す慎重なアプローチよりも、迅速に動いて過ちから学ぶことを信念としている。
SN8は打ち上げ直後に3基のエンジンのうち1基が停止した。それでも飛行中の機体に大きな影響はなかった様子で、エンジンが3基とも出力を落とすと、角度を調整しながら地球へ向けて降下した。
スターシップの本番運用段階では、機体が約60度傾いた状態で降下して大気圏に突入し、着陸直前に垂直に姿勢を立て直して着陸台に下りることを想定している。
スペースXは今週、2度にわたって実験機の打ち上げを試みたが、いずれも直前になって中止されていた。