「泡のバリアー」がプラスチックごみを収集 海への流出防ぐ
ドイツ出身で、造船および海洋工学を学んできたエルホルンさんは、短期留学したオーストラリアで環境工学を学ぶうちにバブルバリアーの着想を得た。汚水処理施設では、酸素の泡を利用して有機物を分解している。
バブルバリアーを「ジャクジーのようなもの」と評するエルホルンさんは、「私が気づいたのは、トイレから流れてきたプラスチックの一部が隅に集まっていたということ」だと説明。この観察が彼の案、そして後にバブルバリアーを支える技術を芽生えさせた。
その一方でエルホルンさんとは別に、アムステルダムではオランダ人の女性3人が全く同じアイデアに取り組んでいた。3人はある日の夜、バーでプラスチックごみについて議論を交わしていたところ、ビールの泡を見てインスピレーションが湧いたという。
すると偶然にもエルホルンさんの友人が、プラスチックごみを自然からなくす解決策を募るコンテストのために3人が用意したプレゼンテーション動画を目にすることに。エルホルンさんは「同じ構想と使命を抱いていることが分かり、すぐに連絡を取った」と回想し、「私の案を伝えて、翌日にはオランダへ向かったよ」「4人で一緒にアムステルダムの川で、シンプルだったアイデアを、バブルバリアーの実験的取り組みとして十分なものに育て上げたんだ」と話した。
海鳥の保護に取り組む生態学者でプラスチック汚染を研究するステファニー・B・ボレル氏は、バブルバリアーについて「本当に興味深い」と評価。一方で、幅の広い川での適性や、電気や保守が必要な点から発展途上国での利用について疑問を呈する。また、重いプラスチックのかけらは泡で持ち上がらず、船の交通量が多いとごみの集積が妨げられる可能性も指摘する。