オミクロン株の入院率、デルタ株より低下 英国や南アの初期調査で判明
(CNN) 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」について、デルタ株に比べて重症化率や入院率が低い可能性を指摘する研究論文が相次いで発表されている。
英エディンバラ大学が22日にオンラインで発表した論文によると、オミクロン株に関連した入院リスクはデルタに比べて3分の2減少することが分かった。この研究は、スコットランドで実施した調査に基づいている。
21日に医学論文サイトの「medrxiv.org」に掲載された別の論文によれば、オミクロン株の感染者が入院する確率はデルタ株感染者に比べて80%低いことが分かった。ただ、入院した場合の重症化リスクはデルタ株と変わらなかった。この研究は南アフリカでの調査に基づく。
いずれも初期のデータに基づいており、査読が行われる医学誌にはまだ掲載されていない。
スコットランドの調査では、11月1日~12月19日に確認されたオミクロン株の症例2万3840例と、デルタ株の症例12万6511例を比較した。入院したのはオミクロン株の感染者が15人、デルタ株の感染者は856人だった。
「数は少ないものの、この研究は朗報だ。ワクチンを2回接種した若者の入院がデルタに比べて3分の2減るということは、多くの人にとってオミクロンが軽くなることを示唆している」。いずれの研究にもかかわっていない英オックスフォード大学のジェームズ・ネイスミス教授は、英サイエンス・メディアセンターが22日に発表した声明の中でそう指摘した。
ネイスミス教授は、オミクロン株の方が症状が軽いという報告は南アフリカの研究者からも寄せられていることは特筆すべきだと解説。一方で、「オミクロンは、ワクチンを2回接種した人でも重症化することがある。従って、もしオミクロンがこのまま数日ごとに倍増し続ければ、ワクチンを2回接種した人の入院は、デルタを大幅に上回る可能性もある」とした。
調査の結果、オミクロン株の症例のうち、過去に新型コロナに感染した人が再感染したと思われる症例の割合は、デルタ株の10倍以上に上ることが判明。また、3回目のワクチン接種を受けた人は、2回目の接種から25週以上たった人に比べて、オミクロン株の発症リスクが57%減ることがデータで示された。
南アフリカの論文は、同国で10月1日~12月6日に報告された新型コロナの症例16万1328例について、国立感染症研究所とウィットウォーターズランド大学、ケープタウン大学が調査した。その結果、感染者の入院率はデルタ株感染者が12.8%だったのに対し、オミクロン株は2.5%にとどまった。
研究チームは論文の中で「これは初期のデータであり、感染が進行すれば状況が変わる可能性もある」としている。
英国ではインペリアル・カレッジ・ロンドンの新型コロナ対策チームが22日に発表した初期データでも、オミクロン株による1日以上の入院リスクは、デルタ株に比べて40~45%低いと推定している。