南極「終末の氷河」、棚氷の下部に予想外の形状発見 早い融解ペース

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「終末の氷河」の異名をとる南極西部のスウェイツ氷河/NASA/OIB/Jeremy Harbeck

「終末の氷河」の異名をとる南極西部のスウェイツ氷河/NASA/OIB/Jeremy Harbeck

(CNN) 崩壊すれば壊滅的な海面上昇をもたらすことから「終末の氷河」と呼ばれる南極のスウェイツ氷河について、予想外の形で急速に融解が進んでいることが、新たな研究から明らかになった。

スウェイツ氷河は米フロリダ州ほどの大きさで、南極西部に位置する。これを支えている地形の一つが海面に張り出した棚氷だ。棚氷はコルク栓のような役割を果たし、氷河を陸地に押しとどめるとともに、海面上昇に対する重要な防御も担っている。

しかし、海洋温暖化が進む中、極めて重要なこの棚氷は脆弱(ぜいじゃく)化が著しい。

科学誌ネイチャーに15日発表された2本の論文によると、大半の棚氷の下部では従来の想定よりも融解ペースが遅かったものの、深い割れ目や「階段状」の形状をした部分では、それをはるかに上回るスピードで融解が進んでいた。

気候変動が加速するにつれ、スウェイツ氷河は急速に変化している。

スウェイツ氷河は毎年数十億トンの氷を海に放出しており、年間の海面上昇の約4%を占める。特に、氷河と海底が接する地点では融解ペースが早い。氷河と海底の接触地点は1990年代後半以降に14キロ近く後退しており、比較的暖かい海水にさらされる氷の面積が一段と拡大している状況だ。

スウェイツ氷河が完全崩壊した場合、それだけで70センチを超える海面上昇につながる可能性がある。これは世界各地の沿岸地域を壊滅させるのに十分な規模だが、スウェイツ氷河は周囲の氷に対する天然のダムの役割も果たしており、もし崩壊すれば、最終的には世界の海面上昇は約3メートルに達する可能性があると科学者は推計する。

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