「麻薬王のカバ」70頭を国外移送、経費4億円 南米コロンビア
(CNN) 南米コロンビアの当局は、「麻薬王」と呼ばれた故パブロ・エスコバルの私設動物園から繁殖した「コカインカバ」70頭を移転させる計画について、約350万ドル(約4億6600万円)の経費がかかる見通しだと発表した。
地元アンティオキア県の29日の発表によると、この経費は同県がコロンビア農牧院(ICA)やコロンビア空軍、カバ10頭の移転先となるメキシコの保護施設などと交わした契約に基づく。
カバを原産地のアフリカまで輸送することは不可能で、同地の生態系をかき乱す恐れもあることから、残る60頭についてはインドの保護施設が引き受ける。
契約に基づき、ボックスの建造やカバを空輸する費用にリソースを割り当てる。当局は、去勢を行ったり避妊薬を仕込んだダーツを打ち込んだりしてカバの繁殖を抑えようと試みたが、頭数は増え続けていた。
カバはメキシコとインドの保護区に運ばれる/Juancho Torres/Anadolu Agency/Getty Images
コロンビア政府によると、現在の頭数は130~160頭。生息地はエスコバルの牧場があった場所からはるか遠方にまで拡大している。当初飼育されていたのはオス1頭とメス3頭のみだった。
初代のカバは、エスコバルが1980年代、アンティオキア県メデジンから約250キロの場所にある牧場に集めた珍しい動物のコレクションの一部だった。93年のエスコバルの死後、当局はほかの動物の大半を別の場所に移転させたが、カバは輸送が困難だったことから移送できていなかった。
天敵がいなかったことからカバはその後急速に繁殖し、生息地はマグダレナ川流域にまで拡大。環境問題を発生させ、付近の住民に懸念が生じるようになっていたという。
アンティオキア県知事は29日の記者会見で、「カバの命を救いたい。だがマグダレナ・メディオ地域の住民の生活も守りたい」と強調した。