ヒマラヤの氷河、今世紀末には最大80%が融解か 新研究
新たな報告書は、これよりさらに悲観的な見通しを示している。
世界の気温の上昇で失われる氷河の割合は、上昇幅が1.5~2度なら30~50%、3度を超えた場合は東部ヒマラヤのネパール、ブータンで75%、さらにもう1度上がれば80%に達するという。
ヒンドゥークシュ、ヒマラヤ山脈には約2億4000万人が住み、その多くが氷河からの水を農業用水に使ってきた。
氷河から溶け出す水は12の河川に流れ込み、下流の中国やパキスタンなど計16カ国に住む20億人にとっても淡水の供給源になっている。
氷河の融解が加速すれば下流の農地は水没する恐れがあり、やがてその水も途絶えて干ばつが起きる。斜面が侵食されて洪水や土砂崩れ、雪崩の危険性も高まることが予想される。
気候のわずかな変動が氷や雪の状態に大きな影響を及ぼし、農耕や畜産、観光などに依存する住民の生活を脅かすことになると、研究チームは指摘している。