世界の大都市でネズミが増加、最大の原因は温暖化 米研究
害獣に詳しいコーネル大学のマット・フライ氏(今回の研究にはかかわっていない)によれば、ネズミは健康被害を引き起こすこともある。ネズミは人に影響を及ぼす50以上の病原菌と関係しており、糞尿(ふんにょう)や唾液(だえき)、寄生虫などを通じて人に感染すれば、レプトスピラ症のような重い感染症の原因となることもある。
ネズミが周辺で暮らす人の心の健康に大きな影響を及ぼすことも実証されつつあるという。
今回の研究では、特に首都ワシントンのネズミの多さが際立っており、ニューヨーク市に比べると1.5倍のペースでネズミが増えていた。首都では固いプラスチックのごみ箱にも、ネズミにかじられた穴が開いているという。
首都の気温は昨年、観測史上最高を記録した。
リチャードソン氏は、今回の調査でネズミが減っていた3都市から教訓を学ぶことができると述べ、そうした都市では自治体がネズミを寄せ付けない方法を住民に周知したり、対策に予算を拠出したりしたことが奏功したと指摘する。
殺鼠(さっそ)剤を使った駆除については「既に繁殖している状況に対応しているにすぎない」として脱却を促し、生ごみやがれきの山などにネズミを寄せ付けない対策に力を入れる必要があるとした。
その上で、温暖化が進む中、ネズミの問題に対応できなれば、事態は一層悪化すると警鐘を鳴らしている。