毎日使うバターを植物油に替えるだけで死亡リスクが大幅低下の可能性 新研究
(CNN) 毎日使うバターを特定の植物油に置き換えると、死亡リスクを減らせる可能性があることがわかった。医学誌「JAMAインターナルメディシン」に6日に発表された研究で明らかになった。
この結果は、SNS上で広まっている「シードオイル(種子油)よりバターやギー(バターオイルの一種)、動物性脂肪のほうが良い」とする主張に反論したかたちだ。
米保健福祉省長官のロバート・F・ケネディ氏は昨年、SNSの動画で「シードオイルは食品に含まれる成分のなかでも特に不健康なものの一つだ」と語り、「フライ用油を再び獣脂に」と呼び掛け続けている。
だが、今回の研究論文の共著者であり、ハーバード公衆衛生大学院で疫学と栄養学を専門とするウォルター・ウィレット教授によれば、そうした主張を裏付ける証拠は乏しいという。
ウィレット氏らの最新の研究によれば、バターを多く摂取している人は死亡リスクが15%高まり、一方で大豆油、キャノーラ油、オリーブオイルなど植物油をより多く摂取する人は総死亡リスクが16%低かった。また、毎日バター10グラムをこれらの植物油に置き換えただけでも、総死亡リスクとがんによる死亡リスクが17%下がったという。
今回の研究では、22万1000人あまりの33年にわたる食事データを分析。研究結果は年齢や体格指数(BMI)、喫煙習慣、総摂取カロリーなどの要因が考慮されている。
バター摂取量は、調理や焼き菓子作りで使った分に加え、食べ物に塗った量も含めた。植物油の摂取量は、揚げ物やソテー、焼き料理、サラダドレッシングなどに使われた油の種類に基づいて推計している。
ニューヨーク大学の栄養学・食研究・公衆衛生学名誉教授マリオン・ネスル氏は、この研究について、あくまで相関関係を示すものであり、因果関係を証明するものではないとしながらも、「飽和脂肪の健康リスクと、シードオイルを含む植物油で動物性脂肪を置き換えた場合のかなり大きな健康上の効果を示す、これまでの数十年にわたる証拠と整合している」と述べる。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究員で研究の共著者であるユー・チャン氏は、今回の研究では植物油に健康上の有益性が見られたが、バターを完全に排除すべきだというわけではないと強調する。「バターを完全に避けるべきだと言っているのではなく、日常の食事の中でバターをほんの少しだけでも植物油に置き換えれば、長期的に相当大きな健康上のメリットを得られる可能性があるということを提唱している」