W杯ブラジル大会の経済効果は期待出来ず、米金融企業が分析
香港(CNNMoney) ブラジルで来月中旬開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)本大会で、米格付け企業ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日までに、同大会がブラジル経済に与える浮揚効果はほとんど期待出来ないとの見方を示した。
同国政府は新スタジアム建設、交通機関や空港整備などW杯関連事業に推定115億米ドル(約1兆1730億円)を投入。W杯は景気拡大をもたらし、都市基盤も改善されるなどとして巨額支出を正当化してきた。
ムーディーズは、政府支出のW杯事業費、大会期間の長さや2兆米ドル相当のブラジルの経済規模なども参考材料にしてW杯による経済浮揚効果を計算し、大して見込めないと結論付けた。
ブラジル経済は近年停滞しており、労働者の生産性の低さ、インフラ基盤改善の遅れや根強い保護主義など長年の課題が改めて問題視されている。W杯開催で地方経済や航空業界への悪影響も指摘されている。
ブラジル国内では、社会福祉や教育、医療行政などが無視される形でW杯関連事業に巨費が投じられることに抗議するデモが全国規模で昨年から多発。W杯期間中に起きることも否定出来ない。ムーディーズは、W杯開催はブラジルの国威発揚につながるかもしれないが、大会中にデモが再発したらこの効果も消滅すると指摘した。
結局、W杯ブラジル大会で最も得するのは公式スポンサーなどの大企業となる可能性があるとしている。
ブラジルのリオデジャネイロ市は2016年に夏季五輪を主催する。関連工事の遅延や汚職などが早くも露呈しているが、W杯と同様、五輪は同市や国に大きな恩恵をもたらすとの大義名分論は消えていない。