世界の覇権に照準、中国「ラグビー革命」<2> 強化戦略の概要、日本に続けるか
狙うは「日本の次」
セブンズ人気の高まりは、ラグビーの世界的成長に大いに貢献した。しかし、ワールドラグビーのブレット・ゴスパー最高経営責任者(CEO)は、中国市場を15人制と7人制の両面から攻略する計画だ。同氏は選手時代、15人制と7人制の両方で活躍している。
「ラグビーの基本は15人制だが、セブンズは今やオリンピックスポーツであり、中国でも大きな信頼を得ている」(ゴスパー氏)
中国では習近平(シーチンピン)国家主席が同国をサッカー大国にする取り組みを進めている。ラグビー革命も習主席の後押しを得ているが、チームへの投資の規模はサッカーに比べると大きく見劣りするのが実情だ。例えば、中国プロサッカーリーグ広州恒大のオーナーが、若い才能を育成するために設立したスクールの費用は1億8500万ドルにも上った。
中国の最終目標は、15人制で強豪国になること、オリンピックのセブンズで金メダルを狙える地位につけること、W杯の開催国になることの3つだが、当然ながら、これら究極の野望を実現するまでの道のりは相当長い。
しかしゴスパー氏は「数年前に日本がW杯の開催国になると誰が予想できただろうか」と指摘する。
同氏によれば問題は「日本の次」だ。すでに複数の国が2023年の開催国に名乗りを上げる中、米国やアルゼンチンが手を挙げる可能性も浮上。中国もこの流れに乗って、やがてはW杯開催の野望を実現する考えだとみる。
「中国は長期戦を望んでいるが、まず開催国の資格があることをワールドラグビーの審議会に証明しなくてはならない。180万~200万枚のチケットをさばき、信頼できる開催国になる必要があるが、それは一朝一夕には実現できない」(ゴスパー氏)
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次回「世界の覇権に照準、中国『ラグビー革命』<3> さらなる飛躍のために」は6月4日公開