アポロ船長の伝記映画、「月面の星条旗」めぐり物議
(CNN) 1969年に人類初の月面着陸を成し遂げた米宇宙船アポロ11号のニール・アームストロング船長を描いた伝記映画「ファースト・マン」について、月面に星条旗を立てる場面が含まれていないことに対する批判の声が上がっている。「米国の達成した偉業である点が見過ごされている」といった意見を受け、映画の監督はアームストロング船長の個人的なエピソードに焦点を当てた結果と説明した。
「ファースト・マン」のデイミアン・チャゼル監督は2日付けの米紙ロサンゼルス・タイムズのインタビューで、星条旗の場面を描かなかったことが物議を醸している現状に「驚いている」と発言。そのうえで、劇中では星条旗のエピソード以外にも多くの歴史的事実が省略されていると指摘した。
「ストーリーの性質上、細かいエピソードをすべて盛り込むことはできなかった」ため、月面のアームストロング船長に関しては個人的な、あまり知られていない出来事に焦点を絞ったという。
チャゼル監督は続けて「星条旗を立てるシーンはとても有名だし、ニール以外の飛行士もしている。探査機のはしごを下って、文字通り最初の人類として月面を踏みしめる場面は劇中に出てくる。彼だけがしたことだからだ」と述べた。
星条旗を立てる場面を描かない判断については、主演俳優のライアン・ゴズリングがベネチア映画祭での記者会見で「人類全体の偉業として広く認識されていると思う」と、その理由を示唆する発言をしたと報じられていた。
共和党のマルコ・ルビオ上院議員はこの問題についてツイッターでコメント。「月面着陸のミッションは米国民の税金で賄われた。米国人が米国の技術でロケットを作り、米国人の宇宙飛行士を送り込んだ。国連のミッションではない」と述べ、チャゼル監督らの判断を批判した。
同監督は今回のインタビューのほかにも星条旗の問題について声明を発表し、劇中には星条旗が月面に立つカットが登場することを明らかにしている。「ファースト・マン」は10月12日から米国で公開される。