ジョセフィン・ベーカーさん、仏パンテオンに埋葬へ 黒人女性で初
(CNN) フランスで活躍した米国出身のエンターテイナー、ジョセフィン・ベーカーさん(1975年死去)が、黒人女性として初めてパリのパンテオンに埋葬されることになった。パンテオン埋葬はフランスで最高の栄誉となる。
マクロン大統領は23日の発表で、ベーカーさんは「フランス共和国のモットーを高く掲げた」と称賛した。
エリゼ宮(仏大統領府)も同日の声明で、ベーカーさんは米国生まれだが、フランスの精神を体現していたと指摘。世界的に有名なミュージック・ホールの出演者であると同時に、対独レジスタンスや反人種差別運動にも身を投じ、「フランスや世界中の善意ある市民を結集させる全ての闘いに加わった」と説明した。
ベーカーさんのパンテオン埋葬は11月30日に行われる見通し。
他にパンテオンに埋葬された女性としては、ホロコーストを生き抜いたシモーヌ・ベイユ、科学者のマリー・キュリー、対独レジスタンスの闘士であるジュネビエーブ・ドゴール・アントニオーズとジェルメーヌ・ティヨン、夫と一緒に埋葬された化学者ソフィー・ベルテロがいる。
フランスでは現在、同国で長年掲げられてきた普遍主義の理念に挑戦する有色人種の人が増え、人種差別をめぐる論争が起きている。
ベーカーさんは米国でダンサーとしてキャリアを始めると大人気を博し、パリに移住。米国立女性史博物館によると、フランスで広く名前を知られるようになり、欧州で公開されたヒット映画にも出演した。
その後、第2次世界大戦中はフランス軍のスパイに。ナチス政権を相手に公演を行いつつ、自身が発見した機密情報を見えないインクで楽譜に記し、フランス当局者に伝えていたとされる。
生涯を通じ米国などにおける人種差別に反対の声を上げ、1963年のワシントン大行進では人種隔離に反対する演説を行った。