カンヌ受賞のパキスタン映画、国内で上映禁止に 性解放の物語
イスラマバード(CNN) 今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、審査員賞を受賞したパキスタン映画「Joyland(原題)」が、国内での公開直前に上映を禁止され、人権団体などが抗議の声を上げている。
同作品は、家父長制度の下で幸せに暮らしていた家族の末息子と、トランスジェンダーのダンサーが出会うラブストーリー。パキスタンでは8月に映画検定委員会が上映許可を出し、今週公開されることになっていた。
ところが、情報・放送省は11日になって許可の撤回を発表。パキスタン社会の価値観と倫理基準に反する「極めて好ましくない内容」が含まれているとする文書が提出されたことを受けて、上映を禁止すると通告した。
「Joyland」はパキスタン映画で初めてカンヌで上映され、性的少数者の問題を扱った作品に与えられる「クィアパルム賞」も受賞した。
さらに米アカデミー賞の国際映画部門にもエントリーしている。ただし選考対象となるには、今月中に米国外の商業映画館で連続7日間以上、上映されたという条件を満たす必要がある。
現地のNPO「パキスタン人権委員会(HRCP)」は13日、許可撤回に抗議する声明を発表。製作者の言論の自由が侵害されたと指摘し、「パキスタンの観客は自分が見ようとする作品を見る権利がある」と訴えた。
同作品のサイム・サディック監督はインスタグラムへの投稿で、撤回は違憲、違法だと非難し、同省が検定委員会の判断を無視し、作品を見ていない少数の過激勢力に屈したとして再考を求めた。
シャリフ首相の補佐官は15日のツイートで、上映の是非を高官レベルで改めて検討すると述べた。