テキスト送信はもう古い? 次のトレンドは香りの送受信
現在、チョック博士が実験しているのは、もう一歩先に進み、デジタルなにおいとインターネットとをつなぐ技術だ。磁気コイルを内蔵したマウスピースのようなデバイスを被験者に装着させ、脳の嗅覚器官に向けて電気信号を送ることで、脳内でにおいに似た効果を再現できるという。
嗅覚のデジタル化は、医療分野でも期待が大きい。米モネル・ケミカル・センシズ・センターでは、患者の体内にがんの生体指標となるにおいを探り当てる研究が進んでいる。電子的な「鼻」を使い、がん患者の血液内の化学物質のにおいを感知することで、早期診断を目指す。これは、犬が持つ病気を検知する能力からアイデアを得たものだ。
既にスマートフォン向けにも似たようなテクノロジーが出現している。
チョック博士が最終的に目指すのは、五感のすべてに働きかけ、人を仮想現実に没入させる、全感覚対応型のデバイスだ。
これまでのテクノロジーでは見過ごされてきた多様な感覚が、主役の座に躍り出るかもしれない。