プライバシーと引き換え? アマゾン、留守宅内に配達の新サービス
サンフランシスコ(CNNMoney) 米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは有料サービスの会員を対象として、留守宅の鍵を開けて配達員が入り、荷物を届ける新サービス「アマゾン・キー」を発表した。プライバシーと引き換えの利便性を危惧する声も出ているが、同サービスは便利で安全だと強調している。
アマゾン・キーのサービスは、「アマゾン・プライム」の会員を対象に提供。防犯カメラの「クラウドカム」と玄関ドアを施錠する鍵で構成され、ユーザーはアプリを通じて、留守宅に配達員が入って荷物を届ける映像を確認できる。
アマゾンによると、配達員は身上調査を行って車両の記録もチェックする。客の自宅に入れるのは、1回の配達につき1度のみ。
アマゾン・キーの料金は250ドル(約2万8000円)。クラウドカムのサービスを別に申し込むことも可能で、その場合は年間69ドルの料金がかかる。一部市場で来月からスタートする。
新サービスには、荷物を配達しやすくするとともに、荷物が悪天候にさらされたり盗まれたりする被害を防ぐ狙いがある。米小売り大手のウォルマートも先月、スマートロックを手がけるオーガスト社と組んで同様のサービスを発表していた。
こうしたサービスに対しては、プライバシーや防犯上の懸念を指摘する声もある。他人が自宅に入る不安だけでなく、ハッキングの標的にもなりかねないとセキュリティー研究者は言い、「自宅監視の映像と音声を24時間保存することがどんな結果をもたらすか、十分に理解されているとは思えない。それは必ずしも、利便性との対等な引き換えではない」と話している。
アマゾンは、クラウドカムで収集した情報を広告のために使ったり、別の製品のために使ったりはしないと強調した。