コンクリートの塊が生み出すSFの世界――カメラが切り取った平壌
「また、われわれはごく限定された建物や通りにしか行きませんでした。私は建物をありのままの姿で写真に収めたいと思っています。写真の中に人を入れることもありますが、それはあくまで、建物の大きさを分かりやすくしたり、写真にちょっとした動きを持たせるのが目的です」
「しかし、個人的には、写真に人を入れず、空間に特化するスタイルが好きです。実際、平壌は非常に静かな街ですから」
――団体旅行ではいろいろな場所に案内されますが、時間的制約は写真に影響しましたか。
「団体旅行は他のプロジェクトに比べて、せわしないのは確かです。私が参加したツアーの参加者は4人だけで、のんびりしていましたが、1つの場所の滞在時間は15~30分ほどでした」
「周辺をもっと散策したかったのですが、滞在時間が短いため、できることは限られます。三脚を使って写真を撮る暇もありません。フィルムカメラだったら多くの写真を撮ることはできなかったでしょう。あくまでスナップ写真を撮るような感じでした」
――ご自身のプロジェクトでは、よく辺ぴな場所に行かれますが、その理由は何ですか。
「半年間、依頼された仕事を行っている間は、旅行のことは忘れる必要があります。ですから、(自分のプロジェクトでは)あちこち旅行して回り、新鮮な空気を吸うことにしています」
「私は、そういう辺ぴな場所により大きな感動を覚えます。タイのビーチもいいですが、私は常に他では見られない光景が見られる場所を探し求めています。そこに行くと特別な感情がわいてくる場所です。そこに立つと『うわ、これはすごい。自分が今目にしているのは一体何だ』と思える場所です」