ルクセンブルク、全ての公共交通を無料化 渋滞・環境面の効果に期待
(CNN) 欧州のルクセンブルクで1日以降、国内の電車やバスなど全ての公共交通機関が無料となった。政府は渋滞の緩和と環境対策の促進につながると期待を寄せる。
内陸に位置するルクセンブルクは面積が小さく、人口60万2000人の小国ながら、1人当たりの国内総生産(GDP)で欧州連合(EU)のトップに立つ裕福な国として知られる。
首都ルクセンブルク市はベルギー、フランス、ドイツとの各国境から車で30分。住居費が高いため、18万人以上がこれら隣国から毎日通勤している。ルクセンブルク大学で土地利用と輸送を研究するジェフリー・カルーゾ教授は、好調な経済と雇用の集中が国内での渋滞問題を引き起こしてきたと指摘する。
国内全域をカバーするルクセンブルクの公共交通システムの運営には、年間5億6200万ドル(約608億円)のコストがかかる。政府によると乗車券の売り上げは4600万ドル程度。
無料化に伴うコストは政府が負担する。交通・公共事業省の報道官は無料化について、経済の好調ぶりを国民に還元するための施策だと説明する。
カルーゾ教授は、公共交通機関が無料になることで人々が歩いたり自転車に乗ったりする機会を無意識に減らしてしまう懸念があるとしながらも、自動車への依存が改善されるという意味では重要な変化の兆しになり得るとの見方を示した。