世界パスポートランキングにも戦争の影響、ロシアは実質「ジャンク状態」
(CNN) ロシアの軍事侵攻に伴う領空の閉鎖や各国のウクライナ難民受け入れが、ビザ(査証)なしで渡航できる国の数を比較したパスポートランキングにも影響を及ぼしている。
英コンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズがまとめた2022年版の最新ランキングは、上位国はほとんど変わっていないものの、下位の国では変動が起こり始めている。
2月下旬に戦争が始まって以来、多くの国が入国規定を改定したり、ウクライナのパスポート保持者のビザを免除するなどの措置を取り、ウクライナはこれまでで最高の34位に浮上した。
一方で、欧州連合(EU)や米国、カナダはロシアの航空機の乗り入れを禁止したほか、ロシア国民に対するビザの発給を停止した国もある。このため「先進国のほとんどで、実質的にロシアのパスポートはジャンク状態になった」とヘンリー・アンド・パートナーズは指摘する。
ランキングでは今のところ、ロシアの順位にそれほど大きな変動はない。しかしその状況は今後数カ月で変わる見通しだ。
国際航空運送協会(IATA)のデータに基づく「ヘンリーパスポート指数」のランキングは、06年から発表されている。
22年第2四半期(4~6月期)の最新ランキングによると、ウクライナは192カ国にビザなしで渡航できるようになり、1つ順位が上がって34位になった。一方、ロシアはビザなしで渡航できる国が117に減り、順位は4位後退して49位になった。
「戦争が移動の自由に対し、恐らく取り戻すことのできない重大な影響を与えた」と報告書では分析している。
トップの座は日本とシンガポールが引き続き維持。それぞれのパスポート保持者は192カ国にビザなしで渡航できるとされる。ただしこの数字は一時的な入国制限は考慮していない。
再び最下位となったアフガニスタンは、ビザなしで渡航できる国・地域が26にとどまった。
22年版のパスポートランキングは以下の通り。
1.日本、シンガポール(192カ国)
2.ドイツ、韓国(190)
3.フィンランド、イタリア、ルクセンブルク、スペイン(189)
4.オーストリア、デンマーク、オランダ、スウェーデン(188)
5.フランス、アイルランド、ポルトガル、英国(187)
6.ベルギー、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、米国(186)
7.オーストラリア、カナダ、チェコ、ギリシャ、マルタ(185)
8.ハンガリー(183)
9.リトアニア、ポーランド、スロバキア(182)
10.エストニア、ラトビア、スロベニア(181)