デンマークとドイツ、世界最長の沈埋トンネルを建設中
より大きな影響
最大2500人が直接関わることになる建設計画は、すでに世界的なサプライチェーン(供給網)問題に見舞われている。
「目下の課題はサプライチェーンだ。鉄などの原材料価格が高騰している。必要な資材は調達したが、困難な状況だ。建設業者は必要なものが確実に手に入るよう、サプライヤーの数を増やさなくてはならなかった。原材料の安定供給は必要不可欠なため、他のことと合わせて状況を注視している」(ビンセントセン氏)
デンマーク最大級の業界団体、デンマーク産業連盟のミカエル・スベイネ氏は、トンネルがデンマーク以外の企業にもプラスになると信じている。
「フェーマルン・ベルト・トンネルはスカンジナビア~中欧間の戦略的回廊を形成するだろう。鉄道輸送の強化は、より多くの貨物が道路から鉄道へ転換することを意味し、気候に配慮した輸送手段をサポートすることになる。国境を越えた交通網は地域社会だけでなく、全国レベルで成長や雇用を創生するツールになると考えている」と同氏はCNNに語った。
一部の環境団体はトンネルがフェーマルン・ベルトのイルカ類に及ぼす影響を懸念しているが、デンマーク自然保護協会のミカエル・レベンダール・クルーゼ氏は、プロジェクトにより環境的メリットがもたらされると考えている。
「フェーマルン・ベルト・トンネルの一環で、デンマークとドイツに新たな自然地域や岩礁が生まれるだろう。自然にはもっとスペースが必要だ。結果的に、自然にもっとスペースが生まれることになるだろう」(クルーゼ氏)
「だが、一番の利点は気候へのメリットだろう。海峡を渡る時間が短くなれば、電車は飛行機に対抗できるようになる。貨物電車は何よりも環境問題の最善策だ」