米国初の女性大統領はイバンカ氏?、意外と高いその可能性
クリントン氏の一連の資質は、父や夫の跡を継いで大統領選に出馬する女性政治家特有のものだ。ハーバード大学のダニエル・スミス教授らが行った調査によると、政治家一家のメンバーである女性は、同様のバックグラウンドを持つ男性よりも、こうした資質に恵まれているという。女性にとってこうした家族に由来するつながりは、男女間格差を部分的に埋めるのに役立つが、それだけでは十分とは言えない。女性が政権を勝ち取るには、男性を上回るほどの輝かしい経歴も必要になる。
ドナルド・トランプ大統領の任期が2期に制限されているという事実は、同族支配の効果をさらに増幅させ、イバンカ氏が政治家として成功を収める可能性を高めるかもしれない。あくまでも本人がそれを望むならという条件付きではあるが、トランプ大統領の影響力を8年の任期終了後も継続させたいというトランプ支持者らの願いが、イバンカ・トランプ大統領の誕生を後押しするであろうことは想像に難くない。
トランプ家は米国政府との密接な関係から利益を得ている有力者の一族であり、たかだか任期の制限程度の問題のためにあぶく銭を稼げるおいしい地位を手放すはずがない。家族の中から次の大統領を見つけることこそ彼らの論理にかなったやり方なのであって、それにより今後も大統領職を利用してもうけ続けることが可能になるのだ。
イバンカ氏は、トランプ氏の子どもたちの中では後継者の最有力候補だ。トランプ大統領はイバンカ氏を「偉大な外交官」と称賛し、さらに「(イバンカ氏が)大統領選への出馬を望んだら、彼女に勝つのは極めて難しいだろう」と述べている。
イバンカ氏も、自分は「誇りを持ったトランプ共和党員」と公言するなど、本物の共和党員としてのイメージを確立するのに躍起になっている。
「トランプ共和党員」という表現は重要だ。本来イバンカ氏は共和党員ではなく、何ら制約を受ける立場にはない。イバンカ氏の忠誠はあくまでも父親であるトランプ大統領と、トランプ共和党という支配体制に対するものだ。そして、共和党もまたドナルド・トランプという人物のあらゆる言動を支持することに余念がない現状を見れば、イバンカ氏がその地位を受け継ぐ可能性は極めて高いように見受けられるのである。