53年連れ添った夫婦、新型コロナで死亡 最期まで手をつなぎ
夫婦が最期の時を一緒に過ごせるよう、手配してくれたのは看護師だった。2人とも緩和ケアを受けていて、苦痛を和らげるために大量の医薬品を投与されていた。
ICUの看護師、ブレイク・スローンさんは言う。「一番いいのは一緒に過ごしてもらうことだと感じた」「そこでそれが可能かどうかを問い合わせ、実現しようとした」。
ベティーさんはICUに移され、夫の隣のベッドに寝かされた。看護師から妻が隣にいることを告げられたカーティスさんは、ベティーさんの方を向こうとしたが、あまりに衰弱しすぎていた。
この時のカーティスさんの様子についてスローンさんは、「目を開いて、眉を上げた。私たちが言ったことを分かってくれ、妻が隣にいることも知っていた」と振り返る。
看護師が、ベティーさんの手をカーティスさんの腕の上に置いた。「お互いに相手のことをよく知っていたから、言葉がなくても通じ合えていたと思う」とスローンさんは語る。
ベティーさんはそれから約20分後に息を引き取り、カーティスさんはおよそ45分後に亡くなった。
息子のティムさんによると、ベティーさんとカーティスさんは3月以来、ほぼ閉じこもって生活していたといい、どこで感染したのかは分からない。ティムさん自身も2人から感染したために、隔離を強いられていたという。
来年には家族や友人が集まって、ベティーさんとカーティスさんの生涯をしのぶ会を開きたいとティムさんは話している。