ペンス氏、大統領選の不正疑惑に改めて言及 民主党の選挙改革法案への非難で
(CNN) 米国のペンス前副大統領は、民主党が主導する選挙の効率化を目的とした法案に異議を唱える中で、昨年の大統領選で不正投票が行われたとの虚偽の主張に改めて言及した。
保守系ニュースサイト、デイリー・シグナルの3日付の論説欄に掲載された寄稿の中で述べた。寄稿はペンス氏にとって副大統領退任後初の公式声明のひとつとなる。
文中でペンス氏は「2020年の大統領選の正当性」について懸念を表明。「重大」で「厄介」な投票上の不法行為が複数あったことを示唆した。
昨年の大統領選で結果を覆すほど広範な不正投票があったという証拠はない。ペンス氏は具体的な不正の疑惑を明示しなかったものの、トランプ前大統領が強調する誤情報を引き続き広めた形だ。1月6日、選挙の不正を訴えるトランプ氏の支持者らが連邦議会議事堂に乱入した際、ペンス氏は上院で選挙結果の承認手続きを行っていた。
寄稿の中でペンス氏は、連邦議会の議員らに対し、選挙制度にも関連するHR1法案と呼ばれる法案に反対票を投じるよう強く求めた。同法案は現地時間3日に下院で採決が行われる。
この法案には各州に対し郵便投票に制限をかけるのを禁じる条項や、選挙区の境界設定に第三者委員会を活用することを求める条項が含まれる。
民主党が法案を議会の最優先課題に位置付ける一方、共和党は行き過ぎた内容だとこれに異議を唱えている。下院は通過する見通しだが、上院での通過の公算は小さい。
ペンス氏はHR1法案について「憲法に反する権力の強奪」との見方を示唆。選挙不正の機会を拡大させ、憲法で保障された表現の自由を踏みにじり、選挙への信頼を一段と損なうものだと非難した。新たな投票方式によって法的資格を認められた有権者からの票が薄まるとも述べた。