米大統領選の不正疑惑、分別ある人は鵜吞みにしない 提訴されたトランプ氏の元弁護士が主張
ワシントン(CNN) 米右派弁護士のシドニー・パウエル氏は、昨年の大統領選で不正投票があったとする自らの主張について、分別のある人なら鵜吞み(うのみ)にはしないはずだとの認識を表明した。自身に対し起こされた裁判への提出文書の中で述べた。
パウエル氏は当時のトランプ大統領の代理として選挙結果に疑義を呈し、複数の訴訟を起こしたり保守系のメディアに出演したりした。これを受け、大統領選で使われた投票集計機メーカー、ドミニオン・ボーティング・システムズが同氏を名誉毀損(きそん)で訴えていた。ドミニオンはパウエル氏について、選挙不正に関する自らの告発が虚偽であり、同社に損害を及ぼすのを認識していたと主張している。
裁判所へ22日に提出された文書の中で、パウエル氏の弁護団は、同氏が自らの「意見」を共有していたのだと説明。集計機によって投票結果が変えられたかどうかは、世間の人々が「各自の結論」にたどり着いただろうとの見方を示した。
そのうえで、パウエル氏が一連の声明を通じて事実を描写していたのは明白であり、それらに基づいてトランプ氏を支援する複数の訴訟が行われたと述べた。
また、原告側は問題の声明を「的外れの非難」、「突拍子もない主張」とみなし、再三にわたって「本質的に起こりそうもない」、「不可能」などとレッテル貼りを行ったが、そうした主張はかえって被告の立場を裏付けているとも指摘した。被告側は、「分別のある人ならそうした内容の声明を事実とは受け入れず、あくまでも法廷での対審手続きによる検証が必要な主張としかみなさないだろう」と述べている。
選挙当局とドミニオンは、トランプ氏の大統領選での敗北について正確な結果だと明言。どれほど重大なセキュリティー上のリスクが起こっていたとしても覆るものではないと強調している。トランプ氏の弁護団と同調者は、選挙後60件近い訴訟を起こしたが、些細(ささい)な内容の1件を除いてすべて短期間で敗訴または取り下げた。
共和党のピーター・マイヤー下院議員(ミシガン州選出)はツイッターで、パウエル氏側の議論を「救いようがない」と酷評。選挙が盗まれたと主張して多くの人々の判断を誤らせたにもかかわらず、今になってその考えを撤回したと非難した。マイヤー氏は1月に行われたトランプ氏の弾劾(だんがい)裁判で弾劾への賛成票を投じている。