米国の薬物過剰摂取による死亡、昨年は過去最高 コロナ禍も要因
(CNN) 米疾病対策センター(CDC)の国立衛生統計センターは18日までに、薬物の過剰摂取による国内の死亡者が昨年、過去最高となる9万3000人以上に達したとの暫定的なデータを発表した。
同センターによると、薬物の利用過多は1999年以降、増加基調にある。2019年の犠牲者数は7万630人で、昨年は約30%増を示した。
声明で、合成のオピオイド(医療用の麻薬性鎮痛薬など)やメタンフェタミンなどの精神的な興奮剤の過剰摂取による死亡も19年比で増えたと指摘。コカイン、天然や半合成のオピオイドが原因の死亡も同様に拡大したとした。
近年はオピオイドの不適切な使用がこれら薬物の過剰摂取による死亡の大半を占める。オピオイドによる死亡は19年の5万963人が昨年は6万9170人に大幅に増えていた。
米ジョンズ・ホプキンス大のブルームバーグ公衆衛生大学院のジョシュア・シャーフスタイン博士は、新型コロナウイルスのまん延で昨年は苦難の年だったが、これに過度の薬物利用による記録的な米国人の死亡が重なることになると嘆いた。
博士はこの増加の背景に新型コロナ禍がまねいた苦境があると指摘。精神的な苦痛や辛い体験、経済的な窮境、社会的な孤立感に襲われ、それまで薬物に縁遠かった人物が手を出すなどしたかもしれないと推察した。