米議事堂襲撃、公聴会7日目のポイント
シポローネ氏のインタビュー動画
12日の公聴会ではホワイトハウスのパット・シポローネ法律顧問のインタビュー動画が初めて公開された。同氏は8日、宣誓を行ったうえで委員会による聞き取りを受けていた。
動画は8時間に及ぶインタビューの中から切り取った14の場面が流された。その中でシポローネ氏は、トランプ氏について、大統領選での敗北を認めるべきだとする考えを表明。また連邦政府に投票機を押収させるとの提案に対しては「ひどい考え」だとの認識を示した。
シポローネ氏の果たす役割は来週の公聴会でさらに重要になる可能性がある。そこでは1月6日当日、議事堂襲撃の最中にホワイトハウスで何が起きていたのかが焦点になるとみられている。
自らの過激化を嘆く証人
公聴会で直接証言した2人の証人は、右翼のグループやトランプ氏本人によっていかに自分たちが過激化させられたかについて説明した。またそのことがどれだけ自分たちの人生を破壊し、米国社会に脅威をもたらし続けているかを語った。
このうちの1人、オースキーパーズで広報担当者を務めていた男性は、グループ内で目にした「過激化」の実態を説明。1月6日の議事堂襲撃でより多くの犠牲者が出なかったのは「幸運」だったと述べた。襲撃では暴徒4人と警官1人が死亡。事件後に自殺した警官も複数いる。
議事堂に侵入した罪で有罪判決を受けた別の男性は、当時トランプ氏の演説でどれほど「怒りがこみ上げてきた」かを振り返った。本来議事堂に行くことなど全く計画になかったが、演説中の「トランプ氏が語ったことに従った」と明かした。
そのうえで、襲撃に加わったために仕事を失い、家も売り、有罪判決まで受ける羽目になったと語った。
「たがの外れた」大統領執務室での会議
12日の公聴会では、6人が参加した20年12月18日の大統領執務室での会議に関する証言も行われた。会議ではトランプ氏の同調者らとホワイトハウスの弁護士らが大統領選の結果を覆すための様々な計画を巡って衝突。トランプ氏の眼前で混乱した事態が繰り広げられたという。
委員会は会議に参加した6人が証言する動画を公開。そのうちの1人、前出のシポローネ氏は、大統領補佐官だったマイク・フリン氏やトランプ氏の弁護士だったシドニー・パウエル氏、実業家のパトリック・バーン氏がトランプ氏とともに執務室にいることに「不満を覚えた」と振り返った。いずれもトランプ氏に適切な助言を与える人物だとは思えなかったからだ。
フリン氏とパウエル氏は、トランプ氏を見捨てているとしてホワイトハウスの弁護士らを非難した。その前には不正選挙に関する彼らの根拠のない主張や選挙結果を覆すための突飛な計画に対して異議が唱えられてもいた。
ホワイトハウスの弁護士のエリック・ハーシュマン氏は会議について、叫び声が上がるような事態になったと証言。「全く前代未聞だった。とても正気とは思えなかった」としたうえで、自らもトランプ氏の同調者らに対してFワードを使用したことを認めた。
一方パウエル氏は自身の宣誓証言の動画で、ホワイトハウスの弁護士らが何の策も出さず、会議中も「大統領を見下しているとしか思えない」態度を示していたと非難した。