米国が「ガザを所有」 トランプ氏の驚きのアイデアはどのように生まれたのか
トランプ大統領、米国が「ガザを所有する」
(CNN) トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザ地区について、米国が所有して「中東のリビエラ」へ再開発すると発言したことを受けて、政権内の当局者は、この大胆かつ思いもよらない構想を理解しようと急いでいる。あまりにも奇抜なアイデアであることから、他の国々が、ガザに対する独自の案を提示せざるを得なくなるのではとの期待も浮かぶ。
今回のアイデアは、4日に行われたイスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で発表された。情報筋は、アイデアは時間をかけて形成されたもので、もともとの構想はトランプ氏自身の中から生まれたもののようだと語った。政策のアイデアについて、大統領執務室で議論される前に国内の専門家を通じで徐々に構築するのではなく、トランプ氏自身から生まれることが多いということを改めて思い起こさせる出来事だった。
当局者によれば、根底にあるのは、2023年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲の後、イスラエル軍の攻撃によって破壊されたガザを再建する方法について合理的な解決策を提示する国が他にないことだ。トランプ氏はこの問題が暗礁に乗り上げていると考えており、行動を喚起する狙いもあったという。
それでもやはり、メモを読み上げながらトランプ氏が披露したアイデアは衝撃的だった。
中東問題を担当する顧問のひとりは、トランプ氏が記者会見で披露するまで、この提案を耳にしたことがなかったと語った。当局者らは「あ然」としたという。
トランプ氏がネタニヤフ氏との会談の数日前に、今回のアイデアを周囲に示していたという話もある。トランプ政権のウィトコフ中東特使は先週、ガザを訪問し、厳しい状況を目の当たりにした。ウィトコフ氏は帰国後、トランプ氏にそうした状況を伝えたほか、記者団にも、ガザはもう人が住める場所ではないとの考えを明らかにした。
ウィトコフ氏は4日、記者団に対し、「建物はいつ倒れてもおかしくない。公共施設はなにもなく、水道や電気、ガスもない。そこでどんな病気が進行しているのか誰にもわからない。そのため、大統領がそこを浄化することについて発言するとき、大統領はそこを居住可能な場所とすることについて発言している。これは、長期的な計画だ」と語った。
ウィトコフ氏の説明がトランプ氏の印象に残り、トランプ氏はこの問題にのめりこんだ。トランプ氏は側近との会話のなかで、中東地域の他の国から代替案が示されていないことを嘆いていた。
ホワイトハウスのレビット報道官は5日、「大統領は、かなり長い間、このアイデアを話し合ってきたと語った」と述べた。
だが、レビット報道官は、トランプ氏が4日に発表するまで、このアイデアが正式に文書化されていなかったことも認めた。
ホワイトハウス当局者はCNNの取材に対し、ウィトコフ氏のガザ訪問に関する説明が、トランプ氏にとっての「転換点」となったと語った。
当局者によれば、ウィトコフ氏やウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)といった中東問題の顧問は4日にトランプ氏がこのアイデアを発表する予定であることを知っていた。ウォルツ氏とウィトコフ氏は3日夜にネタニヤフ氏と今回のアイデアについて協議を行ったという。
情報筋によれば、トランプ氏の中東の仲介国は現在、「継続的な措置」を優先しており、現在の停戦と人質交換に関する取引が維持され、すべての当事者が各自の責任を守ることを目指している。
ホワイトハウス当局者によれば、トランプ氏自身はヨルダンとエジプトの間で、避難民となったガザの人々を最終的に受け入れる長期的な合意をまとめることができると主張している。だが、ヨルダンやエジプトはパレスチナ難民の受け入れを拒否している。
ヨルダンのアブドラ国王は来週、訪米してトランプ氏と会談するが、今回のアイデアが話し合いの中心となりそうだ。