米財務長官が訪中、過剰生産やロシア支援への懸念伝える
香港(CNN) 米国のイエレン財務長官が8日、就任後2度目となる訪中の日程を締めくくった。4日間の滞在中は北京や広州で中国首脳や、地元当局者、学者、企業経営者などと会談。米中間の貿易紛争激化への対処を念頭に置きつつ、中国による過剰生産について米国側の懸念を伝えた。また中国企業がウクライナでの戦争でロシアを支援する場合は「重大な結果を招く」と警鐘を鳴らした。
電気自動車(EV)や太陽光パネルといった主要な産業分野では、かねて中国による過剰生産の問題が表面化。通商面での世界的な対立を引き起こし、11月の米大統領選でも主要な争点となっている。
今回の訪中でイエレン氏は、この問題についての考えを何立峰(ホーリーフォン)副首相や李強(リーチアン)首相といった当局者らに再三伝えた。8日には記者団に対し、単純に中国の供給能力が巨大過ぎて世界がそれを吸収できていないと指摘。人為的に安く抑えられた中国製品が世界市場へ大量に出回る中、米国その他の企業の生存に疑問符がつく事態となっていると説明した。
中国外務省が公開した李氏とイエレン氏の7日の会談記録によれば、李氏は米国政府に対し、経済及び通商の問題を「政治化」しないよう強く要求。米国は生産能力の問題を市場経済やグローバルな視点から客観的に捉えるべきだと提言したという。
イエレン氏は8日の会見で、中国の過剰生産の問題が早期に解決することはないだろうと認めた。それでも今回の会談でのやり取りが,米国の懸念を今後提起する上での具体的な枠組みになっていくとの認識を示した。
一方、広州での何氏との会談では、ウクライナでの戦争における中国の対ロシア支援に言及。米財務省が公開した会談記録によれば、イエレン氏は中国企業がそうした物質的支援を行えば「重大な結果」に直面しかねないと警告したという。