米軍内の性的暴力、過去約10年で初の減少 国防総省報告
(CNN) 米国防総省は19日までに、米軍内で昨年発生した性的暴力が過去約10年で初めて減少したとする新たな報告書を公表した。
被害を申し立てるなどした兵士は計7266人で、2022年の7378人と比べれば小幅な落ち込みだったが、低下は15年以降で初の事例とした。
また、周知せず内密で実施した調査結果として自らが望まない性的接触を受けた兵士の人数は約20%激減したことが判明した。全ての軍種で大幅に減っていたともした。慎重な見方は保ちながらも、性的暴行や嫌がらせの根絶対策の成果が出始めたの見方を示した。
いかなる形でも性的接触にさらされた兵士は2万9061人と推定。この人数は21年には3万5875人だった。性的暴行などの広がり具合を探る内密での調査は2年ごとに実施されている。
オースティン米国防長官は今回の報告書の発表後の声明で、「これら初期段階の発見事項には勇気づけられる」と歓迎。同長官はバイデン政権誕生時に国防総省に登庁した際、性的暴行問題への対策が最優先課題の一つとも強調していた。
一方で、米国防総省は性的暴行などの被害者の減少の背景要因は十分に把握していないとも認めた。その上で同省で性的暴行問題などを担当する部門の責任者は理由を正確に突き止めることは不可能だろうが、国防総省がこの問題に取り組むため注いだ前例のない規模の投資が結実しているとも見立てた。
同責任者によると、オースティン長官は24会計年度で性的暴行問題の対策に10億ドル以上の予算を充てた。近年での関連資金の投入では約2倍の水準になっているという。
米軍内で性的暴行事件が起きた場合、当該の軍種の指揮系統から離れた形で裁く試みも昨年12月から始まっている。米軍内の司法制度のあり方への批判に応じたものとされ、軍種内に新たに発足させた「特別法廷検察官室」と呼ばれる組織が事件の真偽を調べることになる。性的暴行を訴えた被害者の審理の公正さなどへの信頼感を強めることも狙っている。