駐日米大使、長崎市の平和祈念式典を欠席へ イスラエル招待しなかったため
東京(CNN) 米国のエマニュエル駐日大使が、9日に長崎市で開催される平和祈念式典への出席を見合わせたことがわかった。米大使館が明らかにした。
式典には100カ国・地域以上の外交官が集まる見通し。式典は米国が第2次世界大戦で、二つ目の原子爆弾を長崎市に落としたことを受けたもの。
長崎市の鈴木史朗市長は先週、記者団に対し、治安上の懸念から式典にはイスラエルを招待しない考えを明らかにしていた。こうした動きに対し、西側諸国からは自国の大使の出席に影響が及ぶ可能性があるとの警告が出ていた。
先月19日に市長に送られた書簡では、イスラエルが除外されればハイレベルの式典への参加が難しくなると伝えられていた。この書簡にはフランス、ドイツ、イタリア、米国の大使や、カナダ、英国、欧州連合(EU)の代理公使が署名していた。
第2次世界大戦では1945年8月6日に広島に、その3日後に長崎に原爆が落とされた。
広島市と長崎市は毎年、式典を開催して外交官を招待している。世界的な平和を促し、核兵器は二度と使われてはならないという考えを広げるためだ。
長崎市の対応は広島市とは異なったものとなった。広島市は6日に平和祈念式典を開催したが、イスラエル大使を招待していた。出席したイスラエル大使に対しては、親パレスチナのデモ参加者から抗議の声が出ていた。
広島市も長崎市も活動家や被爆者の団体から式典にはイスラエルを招待しないようにという圧力を受けていた。イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区に対して攻撃を行っているためだ。昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲を行って以降、イスラエルによるガザへの攻撃で数万人のパレスチナ人が死亡している。
ロシアとベラルーシをめぐっては、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、広島市も長崎市も式典への招待を見送っていた。活動家らは両市に対して、同様にイスラエルも招待しないことを求めていた。
米大使館の報道官は8日、CNNの取材に対し、エマニュエル大使は6日に長崎市長に手紙を送り、イスラエルを招待しなかったことは政治的な決定だったとし、欠席以外に選択肢はないと伝えたと明らかにした。
大使館によれば、エマニュエル大使は9日に増上寺で行われる長崎原爆殉難者追悼会には出席する見通し。
長崎市の鈴木市長は8日、イスラエルを招待しなかった決定について政治とは無関係だと改めて述べ、エマニュエル大使が出席を見合わせたことについては残念だとした。