AC130J「ゴーストライダー」に搭乗、米軍最大の航空砲を搭載 朝鮮半島上空

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烏山空軍基地を地上走行するAC130J=24年6月上旬、韓国/Yoonjung Seo/CNN via CNN Newsource

烏山空軍基地を地上走行するAC130J=24年6月上旬、韓国/Yoonjung Seo/CNN via CNN Newsource

韓国半島上空(CNN) 米空軍のAC130Jが韓国にそびえる集合住宅の上空を飛行する中、機体に搭載された高性能カメラからは、上層階の窓の中まで見通すことができそうだった。

AC130Jは「ゴーストライダー」の愛称を持つ4発機。搭乗する兵装士官がさらに遠方に狙いを定めれば、約15.2キロ先にある目標も選定可能だ。これらの目標はいずれも、固定翼機に搭載された史上最大の火砲の潜在的な攻撃対象となる。

CNNは6月上旬、韓国での合同演習に参加するためフロリダ州ハルバートフィールドの本拠地から飛来した米空軍特殊作戦コマンド所属のAC130Jの機内を独占取材した。

実弾演習では、105ミリ榴(りゅう)弾砲からソウル東郊の射撃場に砲弾を連続発射する場面もあった。発射の衝撃は非常に強力で、そのたびに重さ80トンの機体の尾部が右に約1.8メートル揺れるほどだった。

発射から約8秒後、砲弾は約3000メートル下の射撃場に着弾し、煙が空に立ち上った。105ミリ榴弾砲の操作員は機体中央に設けられた大型スクリーンで自分たちの仕事の成果を確認した。

「戦車2台を破壊と評価」。そう確認する雑音混じりの声が搭乗員の無線ヘッドセットに響いた。

操縦士のジョン・アイケンベリー大尉は韓国での軍事演習にAC130が参加した目的について、好戦的な隣国の北朝鮮と金正恩(キムジョンウン)総書記にシンプルなメッセージを送る狙いがあると説明する。すなわち、「抑止」だ。

「この演習は我々の即応態勢を示すものだ」(アイケンベリー氏)

朝鮮半島ではここ数カ月、緊張がくすぶっている。

北朝鮮はソウル市内や近郊にごみを詰めた風船を送りつけているほか、非武装地帯(DMZ)中央の軍事境界線を越えた北朝鮮兵に韓国軍が警告射撃を行う事案も発生。

7月上旬には、北朝鮮が韓国で6月下旬と7月上旬に行われた実弾演習を、「言い訳の余地がないあからさまな挑発」と批判した。

一方、米政府は大規模な年次合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」を前に、陸海空の演習に使う兵器を着々と韓国に送り込んでいる。

米国内では得られない経験

AC130Jは輸送機「ハーキュリーズ」をベースにした米空軍のガンシップの最新版で、韓国で運用試験を行うのは2年連続となる。

AC130Jに搭乗する兵装システム士官のヒース・カーティス少佐は、太平洋を越えて飛行するのは同機にとって重要な経験になると話す。米国内でのAC130Jの訓練に使うフロリダ、ニューメキシコ両州の射撃場では再現できない戦闘の条件が得られるからだ。

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