米最高裁、対外支援の資金支払い認める トランプ政権の主張退け
(CNN) トランプ米政権が申し立てていた対外支援資金の支払い凍結の継続について、最高裁は5日、支払いを命じた下級裁の判断を支持した。政権側の主張を退けた格好だが、支払い開始の時期は示していない。
ロバーツ長官と保守派のバレット判事、リベラル派の判事3人の計5人が下級裁の判断の支持に回り、保守派の判事4人が政権側の主張を支持した。
多数派となった5人は、下級裁が出した支払い期限が過ぎていることから、下級裁は「仮処分命令が順守されるよう、政府が果たすべき義務を明確にすべき」と指摘した。
判決に署名はない。これについてCNNの最高裁アナリストを務めるジョージタウン大学ロースクール教授のスティーブ・ブラデック氏は「実際にはトランプ政権に対して20億ドル(約3000億円)に上る支払いを直ちに行うよう求めるものではない」との見方を示した。
一方で、判断が別れたことについて「今後予想されるトランプ大統領が大きな影響力を及ぼす訴訟で最高裁に亀裂が入る兆し」だと指摘した。
政権は今年1月、国務省と国際開発局(USAID)の対外支援資金の支払いを凍結した。これを受けて、資金を財源として医療活動などを行っている複数の非営利団体が、資金の凍結は政府の支出を管理する議会の権限を奪うもので、政府機関による意志決定の過程を定めた連邦法にも違反しているとして訴訟を起こした。訴状では、対外支援が米国の利益を促進し、世界中の多くの命を救っているとも訴えた。
下級裁は先月13日に暫定的に資金の支払いを継続するよう命じたが、数日後に原告側が支払い凍結が続いていると指摘した。これを受けて、下級裁が今月5日までに支払うよう命じたことから、政権側は最高裁に緊急の申し立てをしていた。