大破した2機のF35を継ぎはぎ、「フランケンジェット」が米空軍で実戦配備 コスト節約
「両機を損失として片付けるのではなく、チームは22年、AF27の機首を取り外してAF211に取り付けるという大胆な決断を下した。コスト削減の最大化を図りつつ、作戦能力を獲得した機体を航空部隊に復帰させる狙いだった」。F35統合プログラムオフィスの報告書はそう指摘する。
製造元のロッキード・マーチンで主任機械エンジニアを務めるスコット・テイラー氏は、23年の報道声明でこの取り組みの背景を説明している。
「理論上、機体の各セクションはすべて切り離しと再結合が可能だが、これまで実際に行われたことはなかった」(テイラー氏)
米空軍の23年の声明によると、作業はヒル空軍基地で行われ、「まったく新しい特殊な専用工具や固定具、装置」が使用されたという。
2年半近い修理は今年1月に実を結び、「フランケンジェット」は初飛行を実施。ヒル空軍基地を飛び立ち、テキサス州フォートワースにあるロッキード・マーチンのF35関連施設へ向かった。
「再生された機体の初飛行では性能の限界まで飛ばしたが、初期生産ラインから出荷されたばかりのような性能を見せた」と、F35Aの主任技術者であるジェフリー・ジェンセン氏は声明で語っている。
先月下旬、「フランケンジェット」はヒル空軍基地へ舞い戻り、AF211が元々所属していた第338戦闘航空団に配備された。
空軍の声明によると、この「フランケンジェット」プロジェクトにかかった費用は1170万ドル(約16億8000万円)。代替機を新規調達する場合と比べ6300万ドルの節約になったとされている。