知事公邸放火の容疑者、保釈認められず 当局は動機の解明進める
放火で知事公邸が損傷 米ペンシルベニア州
(CNN) 米ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事(51)の公邸に放火した罪などに問われているコディ・バルマー容疑者(38)は、容疑者本人と地域社会の安全への懸念から保釈が認められなかった。
判事は14日に開かれた審問で、バルマー容疑者について、当面は拘置所にとどまるよう指示した。同容疑者は殺人未遂、放火、テロ行為などの罪に問われている。捜査当局によると、同容疑者は13日未明、フェンスを乗り越えて知事公邸に侵入し、芝刈り機用のガソリンとビール瓶を使った手製の火炎瓶で放火したとされる。
バルマー容疑者は14日の審理で罪状認否を行わなかった。同容疑者の弁護人は審理前、CNNに対し、容疑について、さらなる情報が得られるまでコメントは差し控えると述べていた。捜査当局によれば、バルマー容疑者は同州ハリスバーグ出身で、事件後に自ら警察に出頭したという。
シャピロ知事一家は火災発生の数時間前にユダヤ教の「過ぎ越し祭」の夕食をとっており、公邸からの避難を余儀なくされた。知事の妻と4人の子ども、犬2匹、別の一家も避難した。公邸は大きく損傷したが、けが人は報告されていない。
裁判記録によれば、バルマー容疑者はシャピロ知事への「憎しみを抱いていた」と認めており、もし邸内で遭遇していればハンマーで殴打していたなどと述べた。
ドーフィン郡の検事は、バルマー容疑者の動機について、反ユダヤ主義が背景にあるかどうかを調べていると明らかにした。情報筋によれば、現時点では反ユダヤ主義が直接の要因だと示す証拠は得られていないという。
情報筋によれば、捜査員は、バルマー容疑者の精神衛生上の問題が一因となった可能性もあるとみている。当局者は、同容疑者が、事件全体を通じて、落ち着いていて、リラックスしていることに驚いているという。
バルマー容疑者の母親はCBSニュースの取材に対し、同容疑者が「精神疾患を抱え、薬をやめてしまった結果こうなった」と語った。事件前に複数の警察署に連絡したものの、誰からも支援を得られなかったという。
今回の事件は、米国の公職者を狙った暴力や脅迫の新たな一例とみられる。民主党の有力政治家であるシャピロ氏は、2024年大統領選でハリス副大統領(当時)が出馬を表明した際、副大統領候補の一人として名前があがっており、28年の大統領選でも有力候補になり得るとみられている。
近年、政治家に対する暴力的脅迫は激増しており、23年にはミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)に対する誘拐計画が摘発されたほか、昨年はトランプ大統領に対する暗殺未遂が2度発生している。