イスラム教侮辱映画の制作者殺害に「懸賞金」で物議 パキスタン
イスラマバード(CNN) イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した映画に対してイスラム諸国が反発を強めているなか、パキスタンのビロウル鉄道相がこの映画の制作者を殺害した人物に個人として10万ドル(約780万円)の懸賞金を支払うと発表し物議を醸している。同鉄道相は国際テロ組織などに殺害の実行を促しているが、こうした発言には同氏が所属する政党などからも批判の声が上がっている。
ビロウル氏は22日、記者会見を開き、懸賞金について発表。同氏はCNNの取材に対し、懸賞金の発表は閣僚としてではなく、私人の立場で行ったものだと述べ、「私は閣僚である前にイスラム教徒だ」と強調。アフガニスタンの反政府武装勢力タリバーンや、国際テロ組織アルカイダに暗殺の実行を促すと語った。
ビロウル氏は与党と連立を組む左派のアワミ民族党の所属。同党は「我々は非暴力を信奉しており、あのような発表を行うはずがない」「タリバーンやアルカイダは、愛する人たちを殺害した敵だ」と述べ、ビロウル氏の行動は同党を代表したものではないと強調。「同僚の発言に強い懸念を抱いている」との立場を示した。
アシュラフ首相の報道官も23日、ビロウル氏の懸賞金発表を非難し、首相とアワミ民族党の党首との間でこの問題について話し合う予定だと語った。
米カリフォルニア州ロサンゼルス郡の保安官事務所によると、映画の制作者とみられるナクーラ・バスリー・ナクーラ氏は、既に家族とともに同州の自宅を出て、身を隠している。