「正恩体制は短命に終わる」――ある脱北者の予測
2011年に故・正日氏の後を継いだ正恩氏は当初、市民に食料を配り、自身の肉声を放送させるなど「精一杯の努力」を示した。市民の間で生活の改善を期待する声が高まったが、彼によればそれは「偽りの姿」だった。
2013年12月、朝鮮労働党はナンバー2の地位にあった張成沢氏の追放を発表。経済政策への妨害や反体制行為が理由とされた。張氏は正恩氏の叔父に当たる人物だっただけに、周囲の驚きは大きかった。
正恩氏が「本性を現したのだ」と、彼は主張する。張氏を拘束したとの発表に続いて「犬にも劣る人間のクズ」と非難する声明が流れ、ついには処刑が報じられた。
正日氏は市民を政治犯として投獄し、餓死していくのを看過したが、自分の側近にこのような仕打ちはしていない。一方、正恩氏の標的は張氏だけにとどまらなかった――彼はそう指摘する。
諸外国の予想に反し、北朝鮮の人々は何も反応を示さなかった。だが彼の話によれば、上層部には静かに、しかし確実に不信感が広まっていった。