「正恩体制は短命に終わる」――ある脱北者の予測
「北朝鮮の中流、上流階級がもはや正恩氏を信頼していないのは確かだ。私はずっと前から脱北を考えていたが、張氏が処刑されたのを見て、一刻も早くこの地獄から脱出しなければと考えた。だから実行に踏み切ったのだ」
彼はだれにも計画を明かさず、大きな危険を冒して脱出を果たした。詳しい経緯をここで述べるわけにはいかないが、捕らえられたり命を落としたりする危険性が非常に高かったのは事実だ。
それでも正恩氏の下にとどまるよりはましだったと、彼は強調する。側近らが次々と処刑されるにつれ、上層部に変化が起きていくのが分かった。「次は自分かもしれないとだれもがおびえ、日に日に恐怖を募らせている」という。
だが、ソウル大学統一平和研究院が毎年100人以上の脱北者を対象に実施する調査によると、正恩氏の支持率は昨年58%を記録。就任直後の7割からは下落しているものの依然高い水準を維持している。
同院の上級研究員は、回答者が少ないため世論を反映しているとは言えないものの、1年ごとの支持率の変化が見て取れると指摘する。上層部の粛清は「正恩氏が自信を深めている」表れであり、外側から見るよりも政権の安定性を感じているのではないかと語る。