フランス国旗のフェイスブックはもうやめよう
恐らく、善意で連帯を示す意図なのだろうが、実態として、これでパリ市民の苦しみが安っぽいものになり、対テロ戦争は矮小(わいしょう)化される。ISISはゲームの中の悪者ではない。自分の信条に沿った信仰を持つ(あるいは持たない)権利を含め、自明の自由を信じるすべての人を、真に脅かす存在だ。
米国やフランスの民主主義の神髄は信教の自由と、神を絶対視する教義の否定にある。対照的にISISは宗教を隠れ蓑(みの)として、利己的な狂気から注目をそらす。これには真剣な対応が必要だ。つまり、フェイスブックの装いは正しい反応ではない。
テロ攻撃が起きると、悲しみを声高に口にし、シンボルを取り入れ、自分たちと違う人は誰であれ不審者とみなすことを正当化し、そしてやがて元の気楽な日常生活へ戻る――というパターンが出来上がった。
ワールドトレードセンターに対する攻撃では、全米がニューヨーク市を中心に結集し、ニューヨーク市消防局(FDNY)やニューヨーク市警(NYPD)やヘルメットに同調した。ところが14年たった今、あの日の救助活動で負傷した人たちの医療手当てを延長する法案を通過させようという政治的意思さえないようだ。当時のニューヨーク市長で「アメリカの市長」と呼ばれたルディ・ジュリアーニ氏の政治的活力は、選挙で選ばれたこともテロ跡地に立ったことも一度もないドナルド・トランプ氏やベン・カーソン氏より低い。