トルコでは欧州連合(EU)への加盟に向けた人権改革の一環として、2002年に平時の犯罪に対する死刑、04年には全ての死刑が廃止された。死刑を復活させるには議会での手続きが必要となる。エルドアン氏は「議会で決まれば、私が大統領として承認する」と述べた。
EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表はこのインタビューに先立ち、トルコが死刑を復活させた場合、EUには加盟できなくなると明言していた。
エルドアン氏はインタビューで、クーデターが起きた時の状況を振り返った。休暇を取って妻や義理の息子、孫たちとエーゲ海沿いのリゾート、マルマリスに滞在していた時、首都アンカラやイスタンブールなどの都市で「何らかの動き」があったという知らせが入った。安全な場所へ移動したほうがいいと言われ、家族や側近とともに飛行機に乗り込んだ。
飛行中にイスタンブール・アタチュルク空港の管制塔が反乱勢力に占拠され、滑走路の照明が消された。その後大統領派が管制塔を奪還し、一行は無事に着陸したが、直後から戦闘機が頭上で低空飛行を繰り返したという。
国営テレビの放送が中断したため、エルドアン氏は米アップルのビデオ通話サービス「フェイスタイム」を使って国民に演説した。CNNトルコのアンカーが掲げた携帯電話を通して、軍の反乱勢力に立ち向かうよう呼び掛け、街頭デモを促した。クーデターの動きは12時間以内に制圧されて「政府の望む通りの結果」になったと、同氏は強調した。