韓国軍、同性愛の兵士を一斉摘発 「屈辱的な取り調べ」も
ソウル(CNN) 兵士の同性愛を禁止している韓国軍が、同性愛者の一斉摘発を行ったとして人権団体などの非難の的になっている。別の男性と性的関係を持ったとして罪に問われた男性兵士は、匿名でCNNの取材に応じ、屈辱的な取り調べを受けたと告白した。
「A軍曹」の名で取材に応じた兵士は、自分がマスコミに話をしたことを韓国軍に知られるのが怖いという理由から、実名や階級は明かさず、顔も見せていない。韓国軍では同性と性的関係を持つことを犯罪と見なしており、2年以下の禁錮を言い渡される可能性もある。
今回の大規模摘発については、「同性愛嫌悪の魔女狩り」に等しいとして、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが非難した。韓国では軍以外では同性愛は禁止されていないものの、人権団体によれば、性的少数者の権利が必ずしも守られているとは言えない状況だという。
A軍曹のところに捜査員がやって来たのは今年3月だった。同性愛者であることは分かっていると言われ、元パートナーが自分たちの「犯行」を認めたと告げられたという。
捜査員から極めて個人的で露骨な質問をされたというA軍曹は、「不快感と屈辱」を感じたと告白。「ものすごく高圧的で屈辱的な雰囲気だった」「恐怖を感じた」と振り返る。
CNNは韓国軍や国防省に何度も取材を申し込んだが断られた。ただ、4月の声明では、「軍内部の平穏を保つため、および軍の規律の特異性を考慮して、同性の兵士との性的関係は、軍法に基づき『恥ずべき行為』として処罰される」と述べている。
同性愛行為の禁止は軍の刑法92-6条に定められ、兵士同士の同性関係を、性的暴行に愛しい「恥ずべき行為」と規定。5月に有罪判決を受けた男性兵士は、執行猶予付きで6カ月の禁錮を言い渡されたという。
今回の捜査の発端は、男性兵士2人の性行為を映したビデオが今年に入ってソーシャルメディアに投稿されたことがきっかけだった。
人権団体や地元メディアによると、以来、少なくとも兵士32人が摘発されたという。軍は人数を明らかにしていない。